小布施の家

敷地面積:311.66㎡
  延床面積:114.28㎡(34.6坪)

オンラインマガジンhomify/韓国・トルコ・ポルトガル・ロシア・スペイン・イタリアで紹介されています。

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ある晴れた日、若夫婦さんが訪ねてきました。
ハウスメーカーや工務店などと一年近く相談し、いろいろ迷っていたところ、同僚の家作りを参考に建築家に頼む道を知ったそうです。

ご要望は
家族がそろって楽しく暮らせる家!”。
昔風のおやじ一人が楽しく暮らす家でもなく、奥さん一人が気持良く暮らす家でもなく。

“家族がそろって楽しく暮らす”ことはとても奥が深く贅沢なことでもあるのですが、家づくりには非常に大切なポイントです。

“家族がそろって楽しく暮らせる家”は環境も大切です。

ご夫妻は自分たちが暮らす街選びから始めました。辛抱強く探しました。

そんな中から、ご夫妻は子育てに熱心な行政計画を持っている市町村である小布施町を永住の地として選ばれたのです。

私も一緒に小布施の土地を探しましたが、なかなか条件に合うものがなく大変でした。
でも、楽しい時間でした。

小布施の町は、子育て環境だけでなく住まいの環境にも熱心で、景観条例など規制を厳しくしています。
細かい景観規則の中には、
「形態は切妻屋根」
「外壁の色は茶色・黒・白など無彩色であること」
などがあります。
実を言うと、次世代の建物を作風としている私の事務所にとって、古い街並みや景観条例といった不自由な規制に新しく美しいと思えるデザインを合わせるのは、つらく厳しいものがありました。
我々はシンプルに切妻屋根を掛け、外壁には地元でとれる杉板を使用することにしました。

近代は断熱が高度化しているため、 ファサードラタンというヨーロッパの近代的壁張りで、断熱工法に最も適した張り方をしています。ファサードラタンの場合、すの子壁の奥で防水層を取り、壁板は太陽の光を遮る為にのみ存在しています。すのこ状の壁面は結露を防止し壁体通風を豊かにすることで断熱効果を高めています。最新鋭の壁ですが日本にはなだまだ馴染みが薄いですね。
「一人きりで台所仕事をするのは孤独でさみしい…」と言う奥さま。
そんなお気持ちを受けてオープンキッチンとし、居間全体やワークスペースで遊ぶ子供たちを見守れる空間構成としました。

腰壁は無垢の杉板。やんちゃな子供たちが心おきなく遊びを展開できるよう考えました。 
とてもタフネスなのです。

床は信州カラマツ。壁天井は無公害型アクリル系塗料。堅ろうで健康的な空間となっています。
居間と二階は吹き抜けでつながっており、中二階には空中書斎とワークスペースがあります。

書棚も造り付けられていますので収納量には問題ありませんね。

中二階の床下を利用した床下納戸は5畳程度の大きな納戸となっており、大変便利であると思います。
中二階のワークスペースです。
大きな造り付けのカウンターデスクの奥は、二階のローカと居間が異なるレベルでつながっています。こうした空間構成でより広がりを感じる空間となっています。


写真の正面に見える空中に浮かんだ障子のついた部屋は御主人の書斎となっています。
余ったスペースを利用しているため天井は低く、立って歩けない茶室のような空間ですが、鳥の巣のように空中に浮かんだユニークな空中書斎となっています。
吹き抜けに面する二階のローカです。
手すりでもなく壁でもなく、格子で空間を仕切っています。空気の流れを妨げることなく安全性とアーティスティックなムードを併せ持たせました。四角く開けられた穴からは顔を出したり手を出したり、遊びの孔です。


二階のローカはバルコニーに続いています。
この開口部には一階の居間に光を落とす役割があり、ここから入る風も居間と二階の個室に流れていきます。
格子はいろいろと役に立っているのですよ。
一階には和室がしつらえられています。
シンプルでお茶室風になっており、専用の庭を眺めることができます。

右手にある障子は人の背より低い窓です。
お隣の窓と目が合わないように低くし、雪見障子で庭だけを望めるようになっています。
お互いのプライバシーを守るための配慮ですね。

専用の庭と一体で計画されているため、しっとりと素敵な空間です。
二階の子供室は丸柱が特徴的です。

子供はなぜか見ると飛びついて登ります。
子供は遊びの天才ですからね。
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